「これだけしか食べないけれど、栄養は足りているのかな」――偏食の子を育てていると、栄養のかたよりが心配になりますよね。我が家も、ずっとその不安と付き合ってきました。
この記事では、栄養の専門家ではない一人の親として、我が家が無理なく続けてきた「栄養を補う工夫」を、正直にご紹介します。あくまで我が家の体験談なので、心配なときは小児科や管理栄養士さんに相談してくださいね。
いちばん心配だったのは、栄養バランスと発達のこと
偏食の子を育てるなかで、私がいちばん不安だったのは、栄養のバランスでした。「これだけしか食べないけれど、体も心もちゃんと育ってくれるのかな」「成長期に必要な栄養は足りているのかな」と、当時は本当に心配で、夜に考え込むこともありました。
同じように悩むご家族も多いと思います。でも――これは私自身が、長い時間をかけて気づいたことですが――「全部きちんと」を目指さなくても、子どもはちゃんと大きくなっていきます。
実際、我が家でも、健診や血液検査で「栄養が足りない」といった指摘を受けたことは、これまで一度もありませんでした。偏食ではありますが、元気に育ってくれています。「これしか食べないけれど大丈夫かな」と心配していた私にとって、これは何よりの安心材料でした。
我が家が続けている「栄養を補う」工夫
年長さんの頃、便がかたくなって、トイレにずいぶん時間がかかってしまったことがありました。心配で小児科を受診すると、いつもは診察があっという間に終わる先生が、このときばかりは栄養の指導をしてくれました。
言われていることの必要性は、もちろんわかります。でも、「じゃあ、どうやって食べさせればいいの?」――そこが、偏食の親にとっての、いちばんの難題なんですよね。当時の私も、まさにそこで立ち止まっていました。
とはいえ、心配なまま何もしないのも落ち着かないものです。そこで我が家では、「食べられるものの中で、少しでも栄養を足す」という方向で、無理のない工夫を続けてきました。
おなかのために、今はヨーグルトを
あの頃の経験があるからか、今は本人が自分から、プレーンヨーグルトに食物繊維のイヌリンとはちみつ(ときどきブルーベリーも)を入れて食べています。誰かに言われてではなく、おなかの調子を考えての、本人なりの習慣です。「食べられるものの中で、自分の体のために少し工夫する」――子どもが自分でそう思えるようになったのは、長い時間をかけた、うれしい変化でした。
健康を気にするようになったのは、大人になる少し前からでした。お昼の焼きそばに野菜を入れても食べるようになったり(料理研究家・コウケンテツさんのレシピを参考にしています)、うどんよりも蕎麦を選ぶようになったり。少しずつですが、「自分の体にいいものを」と考えられるようになってきたのを感じます。
このコウケンテツさんの焼きそばは、豚肉・キャベツ・玉ねぎ・もやしが入るので、野菜もお肉も一度にとれて、本当にありがたいメニューです。お昼の「チャレンジごはん」として、しばらく定番にしていました。
お蕎麦を食べるときは、私がすりごまやねぎを”デフォルト”で入れています。以前なら具をよけてしまうこともありましたが、これは取り除かずに食べてくれます。自分で足すまではいかなくても、「入っていても食べられる」ものが増えてきたのは、うれしい変化です。
飲み物で、栄養をそっと補う
もっと小さい頃には、映画「崖の上のポニョ」を見て、ホットミルクにはちみつを入れたものを、しばらく気に入って飲んでいた時期もありました。子どもが自分から「飲みたい」と思うきっかけは、案外こんなところにあるのかもしれません。
※はちみつは、1歳を過ぎてから。1歳未満の赤ちゃんには、乳児ボツリヌス症の危険があるため、絶対に与えないでくださいね。
子どもは小さい頃からココアが飲めたので、寒い日もほっと一息つけました。今は本人が「少しでも身長を伸ばしたいから」と、セノビック(成長期向けの飲み物)を選んで飲んでいます。効果のほどは正直わかりませんが、子どもが自分から「飲みたい」と思えるものがあるのは、親としてうれしいことです。
トマトパスタに、粉チーズを
我が家の定番・トマトパスタには、仕上げに粉チーズをたっぷりかけます。少しでもカルシウムを、という気持ちです。子どもは具をよけてしまうこともありますが、それでも「食べられるものに、ちょっと足す」だけで、気持ちがずいぶんちがいます。
すりおろしにんじんを、ホットケーキに
幼児の頃には、家でホットケーキを焼くとき、すりおろしたにんじんを生地に混ぜていました。おもしろいことに、本人は「入っている」と気づいていたようなのですが、それでも食べてくれました。ふだんは野菜を避けるのに、ホットケーキという”好きな形”になっていると、すっと受け入れてくれる。偏食の子なりの、不思議な線引きがあるのかもしれません。
似たような工夫で、カレーもありました。あるとき、家族がフードプロセッサーで野菜をペースト状にして、カレーを作ってくれたことがあります。子どもは、なんとか食べられていました。カレーは小さい頃からずっと大好きなので、「大好きなものに、形を変えて野菜をしのばせる」のは、我が家では比較的うまくいく方法でした。
スープにすれば、溶け出た栄養を
小学校低学年の頃には、トマトのホール缶を使った、コンソメ味のミネストローネをよく作りました。スープは飲んでくれるのですが、中に入れた玉ねぎ・にんじん・じゃがいも・ベーコン(やソーセージ)は、やっぱり残してしまいます。それでも、煮込むうちにスープへ溶け出した栄養はとれているはず。「スープを飲んでくれたなら、それで良し」と、当時の私は自分を納得させていました。
ただし、「混ぜる」が裏目に出ることも
とはいえ、「隠して食べさせる」のが、いつもうまくいくとは限りません。子育ての先輩ママさんたちに相談すると、何人もの方から「苦手なものはハンバーグに混ぜるといいよ」と教えてもらいました。さっそく試してみたのですが……我が家では、逆効果でした。それ以来、子どもはハンバーグそのものを好まなくなり、今でも食べてくれません。
「混ぜて食べさせる」作戦は、うまくいくこともあれば、その食べ物ごと嫌いになってしまうこともある。我が家にとっては、ちょっとほろ苦い教訓でした。同じ方法でも、合う子・合わない子がいるのだと思います。
足りないときは、冷凍のから揚げを
食事のボリュームや、たんぱく質がちょっと足りないかな、という時に頼りにしているのが、冷凍のから揚げ(ニチレイ「じゅわ旨 特から」)です。温めるだけで一品増やせるので、常備しておくと安心。忙しい日の強い味方になっています。
メニューを「固定」して、無理をしない
毎日ちがう料理を、と気負うと続きません。我が家は、子どもが食べられるメニューをある程度「固定」して、その中でまわしています。「今日は食べてくれるかな」というプレッシャーが減って、親の気持ちも、ずいぶん楽になりました。
「完璧じゃなくていい」と思えたら、楽になった
こうした工夫の根っこにあるのは、子どもが小さい頃に保健師さんからかけてもらった「ベスト(完璧)ではなく、ベター(少しでも良い方)を目指しましょう」という言葉です。
栄養も、100点じゃなくていい。「食べられるものの中で、できる範囲で足していく」。そう思えるようになってから、食卓の空気が、ふっと軽くなりました。
同じように栄養のことで悩んでいるご家族へ。どうか、ご自分を責めないでください。あなたが心配して工夫していること自体が、もう十分すぎるくらい、お子さんのためになっています。
そして、よかれと思っても”やりすぎ”は禁物。子どものペースに合わせて、ほどほどに。それくらいの力加減が、結局はいちばん長続きするのだと思います。
(我が家の偏食のはじまりや、食べられるものの一覧は、こちらの記事にまとめています)

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